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BP-ZE排気側カムシャフト流用チューニング

これをロードスターのエンジンBP-ZEは吸気側カムの作用角が233°と小さい。一 方排気側は250°であり、この排気側カムシャフトを吸気側に流用するチューニ ングがある。手元には事故で全損となった以前の愛車から取って来た排気側のカム シャフトをある。これを使って実際に今の愛車に組み込んでみる。 間違いある可能性高し。DIYする場合は自己責任でよろしく。


カムシャフトの役割

往復動内燃機関は構造上、作動空間内でガスを燃焼させるため、サイクル毎 に作動ガスを入れ替える必要がある。4サイクルガソリン機関ではきのこ弁等を 用いて作動空間に給排気の経路を形成する。これらのバルブを駆動させる要素が カムシャフトといわれるもの。このバルブがシリンダヘッド上にあ る形式を"OHV"(Over Head Valve)、バルブを駆動するカムまでもをヘッド上に配 置した形式を"OHC"(Over Head Cam shaft)と呼ぶ。さらに、一本のカムシャフト で吸気弁、排気弁を駆動するものを"SOHC"(Single Over Head Camshaft)、給排 気弁毎に一本のカムシャフトを用いるものを"DOHC"(Double Over Head Camshaft)と呼ぶ。物理的な排気量に対して、実際の吸入空気量は異なるものだ がこれらの比を容積効率という。エンジンの出力は一般的に作動空間内のガス量 に比例するため、この容積効率の向上はエンジン性能に非常に強い相関がある。 容積効率を向上するには、吸入及び排気抵抗の低減や、流体の粘性を利 用した慣性過給等の手法を用いる。吸入排気抵抗の低減は、バルブの面積が一義 的であるが、そのリフト量も重要となる。また、慣性過給を適切に行うためには、吸気及び排 気の両弁をいかに適切なタイミングで動作させるかに依存し、ここにカムシャフ トの重要性がある。

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図 カムの一般的形状

カムのプロフィール

一般的なガソリンエンジンに使われるカムは玉子型をしている。卵型のお尻 の部分は完全な円(ベースサークル)であり、この部分ではバルブは押されず、 バルブスプリングに押しあげられ、バルブは完全に閉じ ている。カムシャフトが回転し、作用角と言われる尖っている部分に来たときバル ブは押され、ポートが開く。バルブの移動量をリフトと言い、これは、バルブ卵 形先端と、ベースサークル部分の差となる。

バルブタイミング

バルブの開く動作をロードスターNA8Cのノーマル状態のエンジンを例に説明する。

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図 ノーマル状態のBP-ZEのバルブタイミング

  1. 排気側バルブがクランク角BBDC56°(Befor Bottom Dead Center、下死点前)にて開き始める。
  2. 吸気側バルブがBTDC5°(Befor Top Dead Center、上死点前)にて開き始める、この時点では排 気側バルブは閉じきってはいない。
  3. 排気側バルブがATDC14°(After Top Dead Center、上死点後)にて閉じる。
  4. 吸気側バルブがABDC48°(After Bottom Dead Center、下死点後)にて閉じる。

吸気側バルブと排気側バルブが同時に開いている時間があるが、これをバルブオーバーラップ という。

排気側カム流用の机上検討

ノーマルエンジンの吸気側カムの作用角は233°と、この種のスポーツカーと しては狭い。そこで、もう少し作用角の広いカムを入れたくなるのだが、排気側 カムは250°で、これを流用する方法が知られている。ネットを徘徊して調べる と、この場合には、オーバーラップは30°くらいが妥当のようだ。これをどのよ うに実現するかが問題となる。

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図 排気側カム流用、オーバーラップ30°
におけるバルブタイミング

オーバーラップを30°とするには、吸気側バルブがBTDC16°で開くようにす れば良い。この場合クランク角センサのある排気側を弄らなくて済む。この状態 でのバルブタイミングは、以下の表のようになる。

 OpenCloseMax.Lift
Ex side 124(BBDC56) 374(ATDC14) 249(BTDC111)
In.side 344(BTDC16) 594(ABDC56) 469(ATDC109)

従って、吸気側は排気側に対して位相角で220°遅れて動いている。クランク に対してカムは半分の速度で回るため、カムの角度としては110°、ただし、バ ルブの挟み角により、既に吸気側は50°進んでいる状態(最大リフトの来るタイ ミングを考えると判りやすい)であるため、これを加えて、160°分遅らせてや ればいい事になる。

今回は、タイミングベルトの山ずらしと、それぞれ120°の位置についてるノッ クピンにより、調整する予定なので、どのような組み合わせがあるか検討してみ る。調整方法は、まず始めにカムスプロケットのEの刻印を真上に向け、その状態よりベルトのコマの位置を 適当な方向にずらして、カムが所定の角度になるようにする。

以下に、検討に使用した図を幾つか示す。

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A: 1番ピストン圧縮上死点時における、排気側カムの状態
B: 排気側カムを吸気側に組み込み、オーバーラップを30°とした時の、1番ピストン圧縮上死点におけ る吸気側カムの状態

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C1: 吸気側で、ノックピンの位置をカムスプロケットの"E"の位置にあわせて、 "E"を真上にした状態
D1: 吸気側で、ノックピンの位置をカムスプロケットの"I"の位置にあわせて、 "E"を真上にした状態
E1: 吸気側で、ノックピンの位置をカムスプロケットの"Z"の位置にあわせて、 "E"を真上にした状態

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上記の3パターンについて、それぞれオーバーラップが30°に近づくようにベルトのコマをずらし た状態。各パターンにおけるコマのずらし方、オーバーラップの値は以下の表

ノックの位置コマをずらす方向コマ数OpenCloseMax.Liftオーバーラップ
E 反時計回り 20 337(BTDC23) 587(ABDC49) 462(ATDC102) 37
I 反時計回り 5 342.2(BTDC17.8) 592.2(ABDC52.2) 467.2(ATDC107.2) 31.8
Z 時計回り 10 347.4(BTDC12.6) 597.4(ABDC57.4) 472.4(ATDC112.4) 26.6

どのバルタイを選択するか悩む所だ。

実際に組み込む

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BP-ZEの排気側カムシャフトには、クランク角センサーを接続するためのジョ イントがバルクヘッド側にある。吸気側に利用するためにはこの部分が邪魔なの で切断する必要がある。手で切れないこともなさそうだが、面倒くさいので、会 社に持っていって、会社の工場で切ってきた。切断した位置は、吸気側カム を参考に、カム端面から8mmとした。切断面はバリをとっておいた。

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部品の準備も道具もそろったので、週末を利用して、実際の作業を行った。 まずは部品外し。タワーバーは片側を外して上に上げておく。カムカバーを外し、 邪魔なインテークパイプも外す。ウォーターポンププーリーを外すため、オルタネータ を動かしてベルトの張りを緩める。タイミングベルトを緩めるから、ベルトカバー は中間のカバーまで外す。ここまで外して、カム交換に臨む。

まず、クランクを回して、圧縮上死点の位置にする。クランクシャフトプー リーに合いマークがある。バルタイが合っていれば、カムスプロケットの合いマー クが合うはずなので、上死点が上手く出ているか確認できる。 その状態で、タイミングベルトとカムスプロケットに合いマークをつける。と言っ てもスプロケットにはもともと印があるから、その位置に合うマークをベルトに つけるのが趣旨。マーク付けはPOSCAを使うと具合がいい。

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交換する排気側カムの方にも、合いマークをつけておく。これは、実際に組 み込んだ場合の位置。イメージは机上検討の時に十分掴んであるので、その通り にすればOK。今回はROMのセッティング等を省いているので、あまりオーバーラッ プを取るのはよろしくなさそうなので、スプロケットのZの位置にノックピンを 合わせて、オーバーラップ26°仕様で行く。この仕様では、スプロケットを時計 回りに10山ずらすので、Eの位置にあるマークから半時計周りの方向に10山の位 置にマークを付けておく。これで、ベルト側の合いマークに合わせれば、時計回 りに10山ずらしたことになる。組み終わると、各マークは一番上に来るはず。組 んだ後、上に示した図(今回の場合はE2)のような位置にカムの向きがあってた ら成功。外した部品をすべて元通りに組み込んで終了。

インプレッション

組んですぐの始動では、HLAとカムの打音が相当出たが、しばらく慣らし運転 している間に消えた。現在はアイドリングも非常にスムーズで音も静か。妙なハ ンチングもない。アクセルを踏み込んでいくと、エンジン回転上昇が多少スムー ズになったかなと言う感じ。プラセボかもしれない。もともと自分の感覚も鈍い ので当てに出来ない。理屈の上からは悪くなりはしないはずだから、まあ良しと いうことで。

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