年末年始それなりに忙しかったがかねてからやろうと思っていたギターのメンテナンスをした。
下準備
ピックガード外して交換するのポットを特定した。その他メッキの色あせたハードウェアなど、GUITAR WORKSで以下のパーツを休み前に注文しておいた。
- 商品番号:3050 ギターポット 250KA x 2
- 商品番号:1261-G メタルドームノブ ゴールド x 2
- 商品番号:1000-G ジャックプレート船型 ゴールド
- 商品番号:1105-G ピックガードビス ラージ ゴールド 12個セット 3X12mm
作業
休みに入ったので実際に作業を始めた。手始めにできる限り分解した。
電装品の取外し
ストラトタイプなので基本的にピックガードごと全部取り外せるのだけれど一部配線を何とかしないとならなかった。一つはトレモロのスプリングハンガーに直にはんだ付けされていたアース。これは単純にカット。もう一つはBladeの特徴であるVSCの基盤に行く配線のコネクタ。ポット等が納められるキャビティとVSC用のキャビティの間の配線用の穴が狭くてコネクタが引っかかる。これはコネクタ配線の写真を撮って配線の色の順番を記録した後、コネクタのケーシングから端子を一本づつ抜いて(形状をよく見てどこかしら押したりすると端子のロックを外せる)端子付き配線のみにしてから穴を通した。
パーツのクリーニング
そのまま使うパーツは徹底的にクリーニングして磨いた。
- ボディ ネックから電装まで何から何まで外してポリッシャーでコンパウンドかけて磨いた。凹みは気にしない。
- ピックガード これも板一枚にしてポリッシャーでコンパウンドかけて磨いた。ミラータイプなので徹底的に。
- ネック フィンガーボードについた手垢を落として、#400くらいのペーパーで磨いた。そのあとエボニーのワトコオイル塗布。フレットも磨いた。
- チューナー ばらせるところばらしてクリーニング。スパーゼルのロッキングチューナーなのだけど、弦を固定するロッドが2本しか残ってなかった。(後述)
ポット交換
もともとついていたポットは軸の割りのところが折れて、ノブがつけられなくなっていたので交換することにした。回路図書くの面倒なので古いポットから外した配線をそのまま新しいポットにはんだ付けしていった。手持ちの20W程度のはんだごてでは半田が溶けずに苦労した。結局40Wで温度調節のできる新しいはんだごてを入手することになった。
トレモロプレートの再メッキ
長年の使用でトレモロのプレートのメッキが剥げてしまっていた。塗装してみたりしたのだけどいまいち。BladeについているFalconトレモロはプレートボディベタ付でアームアップも出来るという凝ったブリッジなのだけれど単品で入手はほぼ無理っぽい。ということで自分でメッキしてみることにした。詳しくはサンポールメッキとかでググる。
ハードウェアのフィニッシュがゴールドなのでなんとかゴールドのメッキを実現したいと思ったけど結局無理だった。
やったこと
- 真鍮でメッキ 銅の赤い色になる。合金だから?
- 銅メッキの上から亜鉛メッキ最後に加熱 理科の実験からヒントを得てやってみた。理科の実験では銅板に亜鉛メッキを施した後バーナーであぶると亜鉛に銅が固溶して真鍮の金色が表れる。そこでプレートに銅メッキをしてその上にさらに亜鉛をメッキしたあと、コンロやトースターで加熱してみた。結果としては色がムラになって失敗だった。
メッキの厚みとか加熱のばらつきとかのせいかもしれない。仕方ないので亜鉛をメッキしてコンパウンドで磨いてここだけシルバーになった。
再組立
磨いたりなんだりしたパーツを組み立てた。ピックガードのビスや、ノブ、ジャックプレートは新品に交換した。多少のトラブルあったけど完成。
ちゃんと音も出ました。
TrimLokのロックピンについて
このギターはチューナーにSperzelのTrimLokが使われているのだけれど、ベタ付のFalconトレモロとこのロック式チューナーのおかげで本当にチューニングが狂わなかった。非常に優れたものなのだけどソフトケースで持ち歩いているといつの間にかロックのためのノブが緩んではずれ、中のロックピンを紛失してしまう。これを繰り返しているうちに残存するロックピンは3本となってしまった。当時、予備品は手に入れづらく(今も?)まぁロックピンを適当な金属の棒で作れないかと思っていたのだけど、このピンの径が約φ2.3とかなかなか見つけづらい寸法で放置してあった。今ではネットで一般人でもそういう材料が発注できるので良い時代になった。
このφ2.3の鋼棒、JISで見当たらない(あるのかもしれないけれど)。でも似たような寸法をよく見る。例えばルータービットの軸はφ2.35とかで絶対に素材としてあるだろう、そう思って探すと、どうやら「ドリルロッド」「研磨棒」という名前で売られているみたい。ネットで小売りもしているところを見つけてSK、φ2.3 L300 で注文した。
これをカットして使うのだけれど、TrimLokのポストの高さは弦によって違ってて、そのためロックピンの長さも種類がある。残っているピンは1,2弦の19.6mmと3弦に入っていた21.3mm(これも元々3弦の物かは怪しい)、残りは不明。表にしてみると
弦 |
A |
B |
C |
D |
1E |
29 |
0.2286 |
19.6 |
9.1714 |
2B |
29 |
0.2794 |
19.6 |
9.1206 |
3G |
30.3 |
0.4064 |
21.3 |
8.5936 |
4D |
30.3 |
0.6096 |
|
|
5A |
31.2 |
0.8128 |
|
|
6E |
33 |
1.0668 |
|
|
みたいになる。ここでAはポストの尻から弦の溝までの距離、Bは各弦の径、Cがロックピンの長さ、DはA-(B+C)でDが大体揃う長さのロックピンが必要となる。というわけで適当に決めたピン長さが以下。3弦に入っていたものは5弦に入れ替える。
弦 |
A |
B |
C |
D |
1E |
29 |
0.2286 |
19.6 |
9.1714 |
2B |
29 |
0.2794 |
19.6 |
9.1206 |
3G |
30.3 |
0.4064 |
20.6 |
9.2936 |
4D |
30.3 |
0.6096 |
20.6 |
9.0904 |
5A |
31.2 |
0.8128 |
21.3 |
9.0872 |
6E |
33 |
1.0668 |
22.8 |
9.1332 |
大体D=9くらいに揃った。で決めた寸法に購入したドリルロッドをやすりでカット。
端面を整えて(粗いと弦が切れそう)各ポストに装着して、20年振りくらいにロック機能を取り戻すことが出来た。